私の見たリアルなカンドンブレの催事

どうもりゅうです。
今回は2014年の一年間のブラジル滞在中に参加した謎のブラジルの土着の宗教「カンドンブレ」のお祭りについて、長年の封を切ってお話したいと思います。
これはディープ過ぎる内容であるのと、スピリチュアルさと当人達の真面目さへの敬意から、誰かに話し難い感じがしていたのですが、とても貴重な経験をしたと思っているので記録に残しておきたいと思います。

カンドンブレとは?

カンドンブレとは、アフロ・ブラジル文化の伝統宗教です。自然や神々(オリシャ)を敬い、太鼓や歌、踊りを用いた儀式を行います。ブラジル人口の0.5%〜1%くらいの信仰者がいるといわれています。

歴史的にカポエイラと発祥・文化的背景が近いことから、カポエイラの歌の歌詞にもカンドンブレの神々の名前やストーリーが登場することがあります。
サルバドールなどではお金を払って半分ショーのようなカンドンブレのイベントを見学できるのですが、私の参加したのはかなり小規模な日常のミサのような催しという感じでした。

突然の仲間の故郷訪問

半年間のメストレ マオンブランカの家(道場)での滞在していた時のことです。道場には私と同様に修行しながら住んでいるカポエイラの先輩のブラジル人が2人いたのですが、2人は同郷で、ある週末は1泊で2人の故郷の街に行くことになりました。

道場のあるベロオリゾンチから100km程度はなれた「パラオペバ」という人口2万5千人程度の小さな街で、おそらく日本人は誰も住んでいないであろう土地です。

仲間2人はどちらもカンドンブレの信者で、旅の前にあらかじめ仲間から「カンドンブレのイベントがあるから是非参加しなよ」といわれ、私は「入信する気は全くないけど参加してもいいの?」と聞いたら「全然問題なくOKだ」と言われたので、興味本位で参加させてもらうことにしました。

民家の地下のテヘイロ

友人2人と一緒ににバスを乗り継いでパラオペバの街につくと、真っ先に催事が行われる場所に向かいました。そこはやや豪華な家に家族が住んでいて犬もいて、なんの変哲もない普通の民家でした。しかしなんとその民家で催事が行われます。

その家の地下にカンドンブレの催事が行われる広間「テヘイロ」がありました。
地下といっても開けていて明るく陽の光が入る部屋でした。

昼間は自己紹介しながらお茶を飲んだり日本について色々質問を受けたりしながらその家でくつろいで時間を潰しました。夕方になると、その家に外から次々と人が集まってきます。皆カンドンブレの催事に参加する人達でした。

その日は「子供の精霊の日の儀」だということでテヘイロ(広間)のテーブルの上には沢山のお菓子に大きなケーキ、おもちゃなど子供に関係するものが並んでいました。

参加者15名くらいが上下白い服を着て集まると、その催事がスタートします。
まずその家の主人が皆に挨拶をします。彼はメストレ(マスター)と呼ばれていました。もちろんカポエイラのメストレではなく、カンドンブレにおいてのメストレだそうです。3つの異なる大きさのアタバキ (太鼓)並んでいて、皆で丸く円になって、アタバキの演奏とともに歌が始まります。部屋の後方には椅子が並んでいて、見物している人(おそらく参加者の親族など)が2〜3人座って見ています。

歌は初めて聞く歌ばかりでしたが、なんとなく合わせてコーラスを歌ったり手拍子を合わせたりしました。皆左右に体を揺らしリズムをとりながら歌が続きます。
30〜40分以上かなり長く歌の時間が続き、立ちっぱなしで結構疲れたなとか思っていたら、そこから急にカンドンブレの儀式の重要パートが始まりました。
アタバキと手拍子と歌の中、人の輪の中心に家主のメストレのおじさんが立ち、横で女性が耳元でチリンチリンと何度も鈴を鳴らします。するとそのメストレの体が高圧電流を流されたかのようにビクビクと痙攣し声もなく床に倒れました。


私は突然の展開にめちゃくちゃ驚きましたが、周囲の皆は真顔で歌い続けているので「これはかなり面白くなってきた」と内心思っていました。
床にしばらく倒れていた主人はゆっくりと起き上がるのですが、目を瞑ったままです。目を瞑ったままで「ここはどこじゃ」「何をしておるのじゃ」みたいなことを周りに言い出します。
鈴をならした女性が耳元で話しかけ、目を瞑ったまま誘導されゆっくりと部屋の端の椅子に腰掛けると、大きな麦わら帽子を被せられ誰かが運んできた特大のパイプタバコをモクモクと吸い始めます。
どうやらこれは「神」もしくは「精霊」が体に憑依した(もしくはなりきっている)ようです。
すると輪になって歌っていた人のうちの1人の女性が、「神」になったメストレの膝下に跪き、恐れ多そうにこそこそ話をし始めました。これは、「神」に悩みを打ち明けたりや相談をしてお告げをきいているようです。女性が相談を終えると、また別の人が足元に跪いて相談を始めます。その間も歌と音楽は続きます。

そうするとまた別の男が中央で、耳元で鈴をチリンチリンと鳴らされ、ビクビク痙攣から倒れ込み「ここはどこじゃ?」の流れから2人目の憑依された「神」が現れました。さらに時が経つと、なんと私と一緒に住んでいるカポエイラ仲間の1人が中央で「鈴チリンチリン」をされて「神」になってしまいました。増えた2人の神も大きなパイプタバコをふかし、最初のメストレと並んで椅子に座って目を瞑っています。かわるがわる悩み相談をしている参加者も、彼ら3人の神のどれかに各々相談にいきます。

そのうち私も腕を引かれて、なんとその同居人のカポエイラ仲間の神の元に連れて行かれました。

「お前は誰だ」と聞かれ、(いやいや一緒の家に住んでるやん)と思いながら軽く自己紹介し、
「なぜお前は少し顔が皆と違うのだ」とか言われて(いやいやそんなんお前知ってるやん)と思いながら、「日本という遠い国から来ました」とか色々話をしました。
何か悩みはないのか、といわれたのですが、本当にないので、「ないです」といったら、どうやらそういうわけにもいかなかったようで、お互い困った空気になりました。
他の人からもこそっと「何か相談とかないの?なんでもいいから」と催促され、とりあえず「健康でいたい」みたいな無難な願いを伝えてみると、その神(友人)もそれらしい普通のアドバイスをくれました。

一通りお悩み相談の時間が過ぎると、歌も終わり最初の神になったメストレのおじさんが中央で、再度耳元で鈴を鳴らされて倒れ込みました。すると床に座って赤子のように泣き始めます。今度は一体なんなんだと見ていると、ふにゃふにゃと幼児のようなそぶりで部屋に飾ってある大きなケーキに指を突っ込んで舐め始めました。これは今度は「子供の精霊」に憑依されているようで、あとの2人の神になっていた男も同様に子供になっていきます。子供といっても2〜3歳児くらいのようで、喚いたり泣いたり走り回ったりしています。


もう私の脳内は置いてけぼり状態ですが、さらに状況は進みその他の参加者も彼ら子供(のていおじさん)にタッチされると、次々と子供になっていきます。最終的に8割くらいの参加者が子供になってしまい、髪を引っ張り合って喧嘩したり、遊び回ってけたけた笑ったりともカオス過ぎる状況でした。まるで客はいないのに皆で真剣に演劇会をしているような感じでした。

私は「もし自分もタッチされたらどうしたらいいのか」というドキドキと恐怖に襲われていました。一応同じノリで子供を演じるのか、タッチされないように逃げたりしていいものか、など色々想定していましたが、幸いその機会は訪れませんでした。

しばらくすると、一人一人また耳元で鈴を鳴らされ、憑依した子供の精霊が抜け、まるで今目が覚めたように眠そうでぼーっとする感じで「・・・あら終わったのかしら」みたいなことを言いながら落ち着いて座っていき、全員の憑依が抜けるとその催事は終わりました。

そのままダラダラと皆帰ったり、残ったお菓子を食べて話をしたりと普通にもどりました。

その夜、催事の続きで少しの時間ですがまた別のディープなことがあったのですが「ここでのことは誰にも話してはならない」と言われたので、ここに書くのはやめておきます。

その後は道の飲み屋で仲間と飲んで、友人の家の狭いベットで一緒に寝て(ほとんど寝られず)翌日は住んでいるベロオリゾンチに戻りました。

このようにディープな体験をしましたが、カンドンブレの催事にも場所によって様々な形態があるそうで、またウンバンダというよく似た宗教もあったりと、カンドンブレはなんでも今回のと同じというわけではないそうです。

これが私の体験したカンドンブレの催事です。かなり興味深い、そして調べてもなかなか知ることができない貴重な体験でした。

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