カポエイラジェライス東京 |
2020/2/10
カポエイラではいくつかの楽器を使用し音楽を奏で、歌を歌いホーダを盛り上げます。
カポエイラで使われる楽器全般については、こちらをご覧ください。
カポエイラで使う楽器
本記事では、カポエイラの中で最も重要な楽器ビリンバウについて詳しく解説します。
カポエイラのホーダでは様々な打楽器を使いますが、中でも最も重要とされるのがビリンバウ(Berimbau)です。
ブラジルの楽器であり、弓のような見た目をしていて、単弦楽器であり打楽器という珍しい楽器です。
カポエイラのホーダにおいてビリンバウの叩くリズム(トーキ)がカポエリスタ達の動きの指針になり、
スピードや攻防の激しさをコントロールする場合もあります。
1メートル以上ある長い木の棒の両端に、金属製の弦を取り付け、弓のようにしならせ弦を張り、下部に瓢箪(ひょうたん)でできた球状の物(カバッサ)を取り付けます。
弦を木の棒で叩くとカバッサに弦の振動が伝わり増幅され音が出ます。
ビリンバウには音の高さによって3種類に分けられ、一番低音が「グンガ」、真ん中が「メジオ」、高音が「ビオラ」と呼ばれます。
一般的にグンガのカバッサは最も大きく、メジオは中くらい、ビオラが小さいものをが使われます。
ビリンバウには様々なトーキ(リズム)があります。
それぞれのトーキで、カポエイラのスタイルが変わることがほとんどです。
トーキの種類の説明は、こちらのページをご覧ください。
トーキとジョーゴ
ビリンバウの発祥は諸説あり、民俗学、文化学の研究でも定かではないですが、
16世紀当時ブラジルの原住民や植民地支配者のヨーロッパではミュージカルボウを使用する文化がなかったことから、
ミュージカルボウの文化があったアフリカから移民達により持ち込まれたとされています。
アンゴラ南部に伝わる「m'bulumbumba」という楽器とビリンバウが、名前も形も叩き方もよく似ていることも理由に挙げられます。
カポエイラの楽器として主となっていたアタバキなどの太鼓に変わり、徐々にビリンバウはカポエイラのメインの楽器となっていきました。
ビリンバウは様々な部位、素材でできています。
「カバッサ」・・・瓢箪でできた丸い部分。音の増幅器としての役割を持ち、ここから音が出る。瓢箪を半分に切り、中をくりぬいて長い期間乾燥させ作る。
「ヴェルガ」・・・木の棒の部分。様々な種類の木が素材として作られる。ビリーバや梨の木が有名。
「アラーミ」・・・弦の部分。ブラジルではタイヤの中の銅線
「バケッタ」・・・細い木の棒。長めの菜箸程度の大きさ。
「ペドラ or ドブラオン」・・・アラーミを押さえて音色を変えるもの。石(ペドラ)または金属の円盤(ドブラオン)の2種類がある。
「カシシ」・・・蔓を編み込んだ小さな籠状のものの中に、乾燥した豆を入れ、振って音を出す。バケッタをもつ手に握るようにもつ。
カポエイラのホーダでは、ビリンバウの演奏が指揮をとり、ビリンバウのリズム(トーキ)でジョーゴの種類が決まります。
また音楽のスピードや歌もジョーゴの速さや内容に指示を出すこともしばしばあり、その中心的な役割はビリンバウにあります。
例えば、早いリズムで力強く勇ましい内容の歌を歌うと、力強い攻防のジョーゴをしたり、
相手を傷つけず美しくジョーゴすることを指示する歌なら、その指示のとおりジョーゴしたりします。
またジョーゴの切れ目や仕切り直しなどもビリンバウから指示がでることも多く、
プレイヤーは音に注意を向けていなければなりません。
ビリンバウはジョーゴする二人への指示だけではなく、楽器隊(バテリア)の指揮ももちろんとります。
またホーダを広げたり狭めたり、拍手(パウマ)を強めたりと、ホーダに参加する人全体への指揮もとります。
ビリンバウは使うたび弦を張る必要があり、チューニングは都度行われます。
チューニングできる音程の幅がそれほど大きくないため、他の楽器ほど細かくはできないにしても、
3本のビリンバウを協調させることで音の美しさは大きく変わります。
音程の決め方は様々で自由ですが、
グンガの高音をメジオの低音に合わせ、メジオの高音をビオラの低音に合わせるという方法や、
C、E、Gなどのコードに合わせる方法などが取られます。