カポエイラにとって、音楽は必要不可欠で重要な要素です。
音楽や歌は生演奏でカポエイラのホーダにアシェ(エネルギー)を生み出し、皆で一体感を持ってカポエイラを楽しんで熱中する雰囲気を作り出します。歌や音楽だけでもカポエイラはとても楽しいものです。
しかし重要なことは盛り上げるためだけではありません
カポエイラの音楽のテンポや音楽の種類が、カポエイラのジョーゴ(ゲーム)のテンポやジョーゴのスタイルを決定するのです。
例えばアンゴーラのトーキ(リズム)が演奏されているときはアンゴーラのジョーゴを行います。
サンベントグランジのリズムならサンベントグランジのスタイルでジョーゴをおこないます。
また同じサンベントグランジのトーキでも、ゆっくり演奏されているときはゆっくり動き、音楽のリズムが速くなると動きも速くなります。
このように、音楽はカポエイラの前提となるルールや方針を指示しています。
カポエイラは格闘技の要素を多く含んでいます。格闘技なのに音楽とは何故なんだと疑問に思う人もいるかもしれませんが、これがカポエイラにとって音楽が重要な理由です。
強調して重要なのが、動きに合わせてカポエイラの音楽を選択したり、リズムを変えたりするのではありません。カポエイラの音楽に合わせて動きを選択しテンポを合わせるのです。
音楽と歌の内容
歌の形式
カポエイラの歌には、ラダイーニャ、シューラ、コヒード、という種類があります。
ラダイーニャはホーダの冒頭に歌われる歌で、メストレやホーダの責任者のソロの歌となります。
歌の歌詞は歴史や文化や物語など様々ですが、歌が長いので意味のある深い内容であることが多いです。
ラダイーニャの後に歌われるシューラはこれから始まるホーダへの祈りや、先生や周囲への感謝など、儀礼的な意味合いが大きい歌です。
コヒードはカポエイラのホーダの大部分で歌われる歌で、リードパートの歌い手とその場の参加者全員とのコールアンドレスポンスで歌が進行します。
歌の内容
カポエイラの歌(特にコヒード )には、歌詞の内容によってホーダの何かしらを指し示していることもあります。例えば子供がジョーゴするときには子供の歌を歌ったり、プレーヤー転ばされた時には人が転んだ時の歌が選択され歌われることもあります。
逆に歌の歌詞の内容に合わせてジョーゴの内容を変えることもあります。
激しく攻撃的にジョーゴしろ!という歌詞の歌なら、より攻撃的に激しくジョーゴを変えます。逆にゆっくり穏やかに楽しもう、という歌なら美しく穏やかにジョーゴをします。
歌を歌う人は、その場の流れや状況に合わせて歌を選択し歌うことも多いのです。
しかし、全ての歌にこのようにジョーゴ内容と関係する意味があるわけではありません。
色々な意味の歌が歌われる中で、まれにジョーゴの内容を変える必要がある歌もあるので、歌に合わせてジョーゴするにはより一層知識や経験が求められます。