ブラジルに1年滞在した記録も、今回が最後です。
カポエイラジェライス本部道場のあるベロオリゾンチでの生活は、1年のブラジル滞在の中でも最も落ち着いてのんびりした日々でした。
もちろん住んでいる家の洗濯干し場の屋根が落ちたり、皆でお金を出し合って買った洗濯機が3日で壊され、また手洗いに逆戻りしたりと、細かなトラブルは多々ありましたが、それでも毎日トラブル続きのそれまでの暮らしに比べれば時間も生活も余裕がある暮らしでした。
カポエイラの練習、自主練にどっぷり打ち込んでいる中でも、週末に頻繁にカポエイライベントの遠征がありました。
毎週のように地方都市にバスや車で大勢で移動し、その土地での昇段式やイベントなどに参加していました。約5ヶ月の間で参加したイベントを思い出し記していきたいと思います。
①ジアマンチーナの昇段式
ジアマンチーナというミナスジェライス週の街での昇段式に参加しました。
ベロオリゾンチからバスで5時間くらいの場所です。
街の名前のジアマンチーナとは、ポルトガル語でダイアモンドという意味です。過去にダイアモンド鉱山で栄えた街で、街の名前自体がダイアモンドという素敵な名前と同様に、小さいながらも洗練された素敵な街でした。
ここでの昇段式は子供がほとんどでしたが、とても大勢の子供が昇段し帯を受け取っていました。
とても印象的だったのは、一本目の帯をとるバチザードを受けた子供が、ひとりずつ帯を巻いてほしい人を呼び出すときに、マイクを向けられるのですが、「お父さん」「お母さん」などのよく聞く答えと同じように「お父さんの彼女」とか「お母さんの彼氏」とかいう声がちらほら聞こえたのがとてもブラジル社会らしいなと感じました。
②ジャヌアーリアでの昇段式
ジャヌアーリアはミナスジェライス州の中の北の端、バイーア州にもほど近い小さな町です。
ベロオリゾンチからは車で8時間くらいかかります。同じ州のなかで600キロ離れているとか、日本の感覚ですと訳がわかりません。
都会から離れた田舎町で観光地でもない町だと、アジア人、特に日本人などとても珍しいので、町のどこに行っても子供たちが寄ってきて、「日本人?」「日本語話して!」と人気者のミッキーになったような感覚になります。
ジャヌアーリアには、ヴィウマーとサッポという先生がいて、他団体から移籍したてで当時の私と同じ3本目の帯とかでしたが、恐ろしく上手いカポエリスタでした。二人ともビリンバウ職人をしています。2018年のムンジアルには彼らの作ったビリンバウを沢山買って帰りました。
8時間も離れた遠くの町にも、ベロから車で15人くらいの大所帯で遠征して一泊してとても楽しかった記憶があります。
③フォルミーガでの昇段式
フォルミーガはベロオリゾンチから車で3時間くらいの町です。私が遠征した中では一番大きなまちでした。メストレグランジの道場があり、子供も大人も大勢の生徒がいて、レベルもとても高いです。
大勢集まったメストレ達のジョーゴはとても壮観でした。
④ベロオリゾンチ本部道場での昇段式
毎年12月の年の終わりに、本部での昇段式があります。昇段式のイベントのころは、数日前からヨーロッパや南米の国からジェライスのメンバーが集まってきて、いつもとずいぶん違う雰囲気で楽しかったです。イベント前日にはペルーのメストレジャモヘウが私の部屋の2段ベッドの下で泊まって、窮屈な二人部屋になったのも貴重な思い出です。
私の行った年は、アシェカポエイラのメストレバハオンやムゼンザのメストレハモス、メストレレヴィが来てくれました。私はシアトルのアシェカポエイラでカポエイラを始めて、バハオンの動画や曲もたくさん触れていたので、この時初めて会えてとても嬉しくて自己紹介しました。
この時ブラジルで4本目の帯に昇段しました。昇段式の前日に、他の昇段者のブラジル人と一緒に皆の前でビリンバウを弾きながら歌のテストをしたのが印象的でした。
イベント当日は朝から色々なメストレのワークショップがあり、その後昇段式とホーダがあります。
このイベントが終わると1年が終わり、一緒に住んでいる若手たちも、遠くの実家にクリスマス休暇で帰っていくという感じでした。私も年末に本部とベロオリゾンチを後にして、リオデジャネイロのコパカバーナビーチで年越し花火を見て、リオでアタバキを買って1年間住んだブラジルを後にして日本に帰りました。因みに日本に帰る前にトランジットでロスに3泊ほど寄り、観光しながらロスのカポエイラブラジル本部やバトゥーキ本部、アミールソルスキーのクラスなどを受けてロスのカポエイラも満喫しました。
8回も続いたブラジル滞在記もここで終わりです。
9年も前のことなのに、書いていて色々鮮明に思い出せるのは、やはりとても印象深い思い出だったのだと感じます。