カポエイラジェライス東京 |
2019/10/04
カポエイラには時々マンジンガという言葉が使われます。
歌の歌詞には頻繁に出てきますし、カポエリスタの会話にも普通に使用されます。
この言葉には深い意味と、カポエイラそのものの理念、考え方が含まれています。
直訳できる言葉はありません。そもそもブラジル人でも1つの意味に固定せず、
様々な意味でこの言葉を使います。日本語の古文の「いとおかし」みたいなものですね。
もっとも一般的な意味でいうと、「魔術、技巧、欺くこと」といったところです。
日本では「正々堂々」の武士道精神が美徳とされるところですが、ブラジルでは
上手く出し抜く技術、工夫などがスポーツを始め日常でも「ずるい」のではなく「上手い」と表現されることが多くあります。
サッカーで有名になった言葉「マリーシア」もマンジンガと同じような感覚で使われることもあります。
・カポエイラのジョーゴ、ホーダでどのように使われるか
ある時は、手や体全体を使って相手を惑わすような動きのことをさします。
ある時は、相手との精神的な駆け引きを、その上手さを意味します。
やられたふりをしてやり返す、疲れたり、怪我をしているふりをして意表をつくなどもそこに含まれます。
またある時は、ジョーゴを盛り上げ、エネルギッシュにする美しい表現や驚くような凄い技術をさします。
マンジンガを兼ね備えたカポエリスタのことを「マンジンゲイロ」と呼びます。
カポエリスタの賢さ、技術に対する褒め言葉です。
19世紀に活躍したリオデジャネイロの「Manduca da praia」やバイーアの「Besouro Manganga」といった伝説的なメストレ達を讃える言葉としても
Mandingeiroが使われてきました。
理不尽な警察や権力に屈せず、囲まれても捕まらず、戦いで自由を勝ち取るBesouroのような生き方そのものがマンジンガだったと言えるでしょう。
カポエリスタのマンジンガは、ジョーゴの中だけでなく、振る舞いやなどにも使われる言葉でもあります。
例えば、出席を約束することを「Sem Mandingaでね(マンジンガ無しでね)」と言いますが、
行くよ行くよ、といっておいて参加しない、といった冗談、嘘の知恵をマンジンガと呼ぶこともあるのです。